2011年3月8日火曜日

剣の教え

剣道の教えにこういうのがあります。

「相手と向かい合って相手の肩に隙があると思うと、心は相手の肩に縛られてしまう。腕に隙があると思えば、心は腕に縛られてしまう。勝てると思うと心は勝つことに縛られてしまう。そうではなく、心は一切どのにも置かない。一点に気力を集中しながら心はどこにも置かない。これが剣の極意だ。」

宮本武蔵を指導したと言われる臨済宗の名僧、沢庵和尚の教えです。


この教えはフロー状態に通じています。

フロー状態とは、無心でなにかに没頭して取り組んでいる状態。「時のたつのも忘れて」とか「寝食を忘れて」とか・・・集中していると、あれこれ考えなくなります。あるのは「いまこの瞬間だけ」

いまこの瞬間だけに没頭した時間が流れた一日が最高の一日です。自分は消えてなくなっています。そのとき、自分はどこに行ってしまうのでしょうか?時間そのものになっているのです。

自分が消えてしまうのに幸せな時間・・・・ここに幸福の正体を見ます。
コミュニケーションがうまくできないと悩む人は、自分のことが気になって仕方がない。コミュニケーションが上手な人は相手に集中して自分のことは忘れています。そして心はニュートラル。自由。

2011年3月6日日曜日

ライフスキル



仕事は楽しいものだけど、同じくらいに不快感の多いものです。それに比べると快楽たとえば飲食、セックス、遊興には不快感が少ない。しかし量的に限度を越えると無感動になり、比例して依存的になります。快楽には発展がないのです。
楽しみは、仕事や勉強など、不快感の多いことに潜んでいて、見つけるのが決して容易ではありません。つまり宝物探しに似ています。

要するに、この世の中は、なにかにつけて不快な場所なのです。その最大の原因が人間との関わりにあります。その証拠に一生の内に出会う数は多いのに、信頼できる関係、友人、愛情を交歓できる異性の数は一握りにすぎない。

"Life Skill" ・・・・言葉の上では「生きる力」がもっとも近いのかも知れないが、この翻訳は政治家やお役人にはあまり受けが良くない。確かにどうもピンとこない。ライフスキルには、運転技術と同じイメージがあるので、「生きる技術」の方がしっくりするが、技術というと誤解されそうだ。どう翻訳しようが、中味は変わらないのです。

ライフスキルとは、不快感のなかから、楽しみ、喜びを見出せる技術です。 感情の処理の仕方が上手で、同時に楽しみを見つけ出して楽しんでしまう。対リーガーに転進した選手が「楽しみたい」と発言することに通じています。

これはスイッチチェンジという技術の問題です。物事の見方を変えることは、我慢することではありません。我慢は抑圧でしかなく、我慢を処理しようとして快楽に走る。臭い物にはフタをしろ式に、その場だけの対応なので、実はダメージになっています。

スイッチチェンジ(物事の見方を変える)はポジティブな方法です。そのコツは人と人の間にある「境界」への深い理解と温かいまなざしです。私とあの人は別の人格、私は私、あの人はあの人、その違いを認識して、尊重する。だからこそ親密の交歓が可能になるという事実を受容する。ライフスキルが確かだと、悲しみや怒りは確実に激減します。感情的にならないので喜怒哀楽が減ります。それが減ったとしても、取って代わる感動が育ち、人生は変わります。