すべては【全地球カタログ(Whole Earth Catalog)】から始まっている。
この画像を見たらピンときますよね。iPhoneの壁紙を思い起こされると思いますが、スティーブ・ジョブズ氏の原点にして、グーグルの元祖と言えるのが、1960年代に出版されていた伝説にしてバイブルと呼ばれる「全地球カタログ」です。
。。。。入手困難と思っていましたが、なんとWEB化されていたことを発見。http://www.wholeearth.com/index.php
また幻冬社から「スペクテイター〈29号〉〈30号〉」で前編、後編に分けて紹介されています。
ジョブズのあの有名な「Stay hungry! Stay foolish!」も、この「全地球カタログ」最終号の最後に書かれた文章からの引用なのです。
スタンフォード大卒業生に向けたスピーチの終盤を引用してみると、
「私が若いころ、『全地球カタログ(The Whole Earth Catalog)』というすばらしい本に巡り合いました。私の世代の聖書のような本でした。スチュワート・ブランドというメンロパークに住む男性の作品で、詩的なタッチで躍動感がありました。パソコンやデスクトップ出版が普及する前の1960年代の作品で、すべてタイプライターとハサミ、ポラロイドカメラで作られていた。言ってみれば、グーグルのペーパーバック版です。グーグルの登場より35年も前に書かれたのです。理想主義的で、すばらしい考えで満ちあふれていました。
スチュワートと彼の仲間は『全地球カタログ(Whole Earth Catalogue)』を何度か発行し、一通りやり尽くしたあとに最終版を出しました。70年代半ばで、私はちょうどあなた方と同じ年頃でした。背表紙には早朝の田舎道の写真が。あなたが冒険好きなら、ヒッチハイクをする時に目にするような風景です。その写真の下には「ハングリーなままであれ。愚かなままであれ」と書いてありました。筆者の別れの挨拶でした。ハングリーであれ。愚か者であれ。私自身、いつもそうありたいと思っています。そして今、卒業して新たな人生を踏み出すあなた方にもそうあってほしい。Stay hungry. Stay foolish」(スティーブ・ジョブズ)
文字通り商品カタログですが、読者の大半はヒッピーで、編集のスチュアート・ブランドと仲間である「全地球カタログ(Whole Earth Catalog)」独自のフィルターを通ったものだけが以下のカテゴリーごとに掲載されました。
Understanding Whole Systems(全体システムの理解)
Shelter and Land Use(シェルターと土地の利用)
Industry and Craft(産業と民芸)
Communications(コミュニケーション)
Community(コミュニティ)
Nomadics(遊牧民族)
Learning(学習)
以上のようなカテゴリーに分かれており、カタログの冒頭には、そのフィルターの説明があります。
(1) Useful as a tool,
(役に立つ道具である)
(2) Relevant to independent education,
(自立教育に関係がある)
(3) High quality or low cost,
(ハイクオリティー、もしくはローコストである)
(4) Easily available by mail.
(メールで簡単に手に入る)
(4)にあるように、当時は画期的だったと思われる通信販売もできたらしい。
しかも、Whole Earth Catalogueに申し込めば、全て一括で買う事もできたというから驚きだ。
http://sakainaoki.blogspot.jp/2010/10/35the-whole-earth-catalogue.html(坂井直樹のデザインの深読み)から抜粋。
ビートニク〜ヒッピー〜シリコンバレーと主役は変わっても、支柱というべき精神が継承されてきたのが感動的です。さらに文化の裏側には米ソ冷戦、ベトナム戦争というように庶民の不安と恐怖から生まれる闇が存在しています。その光と影を西海岸の明るさで包みこんでいるのが興味深いです。
この地球は1967年にアポロ4号が撮影したものですが、それまで、地球上の誰も地球を撮った本物の写真を見たことのなかった時代に、地球上の暮らし方を考え直そうとメッセージしたのが「全地球カタログ(Whole Earth Catalog)」でした。
ヒッピーだったスティーブ・ジョブズは強い影響を受けましたが、ジョブスが手作りに近い「全地球カタログ(Whole Earth Catalog)」を簡単に創れる装置を創りたいと思ったとしても不思議ではありませんでした。その想いがリドリー・スコットを起用して制作したアップルの有名な CM"1984"に結実しています。
管理社会の代表的存在としてのIBMに挑戦する若き日のジョブスのドヤ顔見てると涙が出そうです。(笑)
1983 Apple Keynote-The "1984" Ad Introduction(キャプチャーオンで字幕表示)
http://youtu.be/0ofJx4LiSYQ?t=30s