自己否定感について、危惧される方は多いのですが、逆に他者否定についてはあまり意識されないように思います。
他者否定を自分がどのようにしているか分らないために人間関係を自ら破綻させているケースは非常に多いのです。
他者否定の交流には、主に次のようなものがあります。
責任を他に転嫁して自分の立場を守る
自分の不安や自信のなさを不平不満で覆い隠す
異性と関わった後に毎回相手を傷つけて、見捨てる
自分が援助を頼んだ相手を、窮地に追い込む
助けた相手から裏切られる
相手の過ちを見つけて執拗に責め立てる
二人以上の人々と関わると仲間割れを起こす
毎回デートの最後に喧嘩別れする
それにしても他者否定が起こる発端は、ほとんどの場合、自己否定感から始まっています。強い不安があると、自分以外に対象を見つけて、責任転嫁するのは典型的な事例です。言い訳をするときに他者のせいにするのは、よくあるケースです。
ライフスキルのひとつである批判的思考(クリティカル思考)スキルが不足しているので、強い不安や不快があると相手や環境のせいにしてしまいます。責任転嫁、他罰主義がその典型です。
何か起こった時に原因を自分の外に求めるのは珍しいことではなく、「嘘」という形で認識できます。
厄介なのはそこに、善悪や肯定・否定など白黒二分する価値観が強く入り込み葛藤が生じた場合です。
表面的には分りにくい心のトリックを「投影」という形で行われます。投影は、自分の感情を相手に投げかけて、受け取った相手の感情を相手のものとして、自分は楽になろうとするものです。
思い通りに物事が行かないときに、自分の行為の結果の重大さに圧倒されると、巧妙に自分以外の誰かのせいに仕上げて、責任、選択を自分以外の誰かや環境のせいにしてしまいます。客観的な判断ができないとストレスに耐えられずパニックになり自暴自棄的に「投影」によって不安から逃げ出して楽になろうとするのです。
感情の洪水に押し流されそうになったとき、釘がいっぱいの流木にでもすがりつくのです。
税金を未納にする人が、催促されると他にも未納者がいることを口にして逆に糾弾するのもそうです。表面では他者否定ですが、その裏では自己否定感を投影するトリックが働いているのです。
あるいは、自分が相手に好意を持っていたとして、それを何らかの事情で率直に認めることができない場合など、相手が自分に好意を持っていることに置き換えて対処する。心のキャッチボールを繰り返している内に、相手は、なんでこうなったのか、よく分からない、気がついたら立場が逆転している状態になることがあります。
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