とても丁寧だけど好感度が低い接客があります。デパート、銀行、ホテルなどに多いように思います。同じ業種でも感じがいいなと思うときもあります。
その違いはひとことでいうと「親しみ」の有無です。
謙る(へりくだる)のと、フレンドリーの違いです。
西欧諸国の外国の人は、一度会っただけの人でも、手紙に「親友へ」「友達へ」と書くことがよくあります。この感覚の違いだと思うのです。
接客とは「マナー」ではありません。心です。つまりホスピタリティー。ホスピタルのホスピタリティーです。
入院した経験のある方なら分かると思いますが、ナースさんは総じて丁寧ではありません。時には上から目線です。年齢に関係なく「お母さん」のようであり、「姉」のようです。面倒見てあげているという態度に患者は安心感を覚えるのでしょう。
病院とサービス業などの接客とは、ポジショニングが違うとは思いますが、ケアするという点では共通しています。丁寧な接客には「無難に」「粗相(ミス)がないように」という思いが見え隠れします。この思いが「反感」を買うのです。目線が当事者本人に向いているからです。
「好き避け」と同じ構造です。
「接客するのに照れてどうするねん」という世界です(笑)
「好き避け」された相手は寂しいのです。嫌われたのと同じ状態にあるからです。
「ケアする」には相手に目線がいっています。そこに「情愛」を感じるから、丁寧な応対でなくても気にならないのです。
では、どうすればいいのでしょう。
丁寧さを疎かにしていいわけではありません。
少なくとも初対面では失礼にならないようにする必要があります。
しかし、ここまでは当たり前であり普通なのです。
つまり記憶に残らない、心に残らないということです。
記憶に残すには心に残らなければなりません。丁寧さだけで終わらないようにします。
つまり始まりと終わりの間に、心理的に距離を縮めるということです。
新規にご来店されたときは「いらっしゃいませ」でお迎えしますが、お帰りになるときには、「また来てくださいね。待ってます。」と親しみのあるお見送りになっていることが心に残るポイントなのです。
ではどうすればできると思いますか?
アメリカのレストランで働く人たちがいい先生です。
彼らはチップをもらうために懸命です。つまりプロです。
彼らの作法はこうです。
途中で感想なり、要望を聞き出すことです。
アメリカのレストラン、あるいは国内のアメリカ系のレストランで食事していると、必ず「味はどうですか?」「楽しんでいますか?」「問題はありませんか?」など笑顔で質問してきます。
ほとんどの場合、お客様は「美味しいよ」「楽しんでいるよ」「問題ないよ」と投げかけた質問に肯定的に反応してくれます。
つまり一応の受容をしてくれたわけですから、ここが距離を縮めるチャンスです。
お客様は、自分が受け入れられることを望んでいるのです。
ところがほとんどの店は自分が受け入れられることを望んで、丁寧に対応しょうとします。
これでは、両方が受け入れることを望んだままで距離は縮まらないのです。
人は誰でも肯定的な温かみのあるストローク(交流)を求めています。
あなたのするべき仕事はなにかと問われたら、「温かみのあるストローク(交流)の実行」なのです。これが接客の基本です。
「味はどうですか?」
「美味しいよ」
「そうでしょう。僕もそれが大好きなんですよ。毎日食べてるんですよ」
「楽しんでいますか?」
「楽しんでいるよ」
「ありがとうございます。それが一番ですね。買い物は楽しいのが基本ですからね」
「問題はありませんか?」
「問題ないよ」
「そう言っていただくと嬉しいです。何か気になることがあったら言ってくださいね」
お気づきだと思いますが、質問の段階で、もう丁寧語ではないですね。気遣いが働いているので気にならないのです。
お客様が求めているのは、「温かみのあるストローク(交流)」だということを忘れないでください。それは時間とともに変形することで実現できるのです。つまり店側が歩みよることで可能になるのです。
「慇懃無礼」という言葉があります。。。気をつけてくださいね。
「慇懃無礼」という言葉があります。。。気をつけてくださいね。
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